昨年の11月にいつか作ろうと買っていたDSPラジオキット。
素人がいきなり作るには無謀なチャレンジだと覚悟した上で、正月休み明けの3連休初日に一気に作り上げてしまいました。
意外な程あっさり出来てしまいましたが、そこは電子工作の素人のやることですのでそれなりの紆余曲折はありました。
★やさしい版★表示器付DSPラジオキット [K-6955E]
完成済みDSPラジオモジュールを使用して液晶表示器や部品を基板に半田付けをして組み立てる、AM/FM/SWの3バンドの受信可能なラジオキットです。
詳細なマニュアルがないのが不安はありますが、商品説明にある写真を参考に抵抗、コンデンサ等の見分けがつけば何とかなりそうです。
しかし、現物のキットが届いてみると電子工作の素人の私には一般のハンダ付け以上に難易度の高いハンダ付けの作業が待ち構えていました。
フラックス 細かいハンダ付けには必需品
上手な人がやればこんな風にきれいにハンダ付けできるという動画。
難易度の高いハンダ付けの作業とは、マイコンチップのハンダ付けです。
私の力量ではこんな小さなパーツを無事にハンダ付けすることなど不可能です。
恥を覚悟でハンダ付け後の状態をお見せいたします。
黒い正方形のパーツがDSPラジオチップの動作に対応するマイコンチップ。
ハンダ付けを行う脚の部分はわずか0.8mmピッチ。
決してほめられた出来ではないですが、何とかショートすることなく仕上がりました。
現段階では見栄えの出来は二の次、三の次、四の次。音さえ出てくれれば大成功です。
動画を何度も見て手順は確認したつもりでしたが、見るとやるとでは大違い。思った通りにはいきません。
このハンダ付けに不可欠であったのがフラックスです。表面実装パーツの細かなハンダ付け作業には無くてはならないものです。
フラックスの他に、替えのこて先やハンダこて台も新調しました。
動作確認 スイッチ・オン!
最終的に出来上がってみないとマイコンチップが上手くハンダ付けされているかどうかは分からないのですが、後は技術的にはそれほど難しことはなく、割とあっさりとハンダ付けの作業は終了しました。
電源は2石簡易アンプキットの単3電池2本用の電池ボックスを使用。
普通ここで各パーツは所定の位置にセットされているか、もしくはハンダ付けの不良はないかと確認したりするものですが、それよりも何よりもスイッチ・オン!
赤いLEDが点灯。通電は上手くいっている(と思う)。
あれこれとスイッチに触れてみるが音が出ない? 一瞬焦る! 体が固まる。
音声出力のステレオジャックにまだ何も接続していなかった。
気を取り直して、取り敢えずイヤホンを接続。
ザーと言うノイズが聴こえる。やったー!
操作方法のマニュアルもないので適当にボタン操作していると、、、、94.6MHz。
ワイドFMの中国放送(RCC)の電波をキャッチ。大成功!
他にもローカル局を次々とキャッチ!
中波に切り替えると中波に切り替わるものの、10KHz刻みにしかチューニング出来ない。
地元民放の中国放送は1350KHzで支障はないが、NHK広島は1071KHz、NHK広島の第2は702KHz。その他の放送局も日本では9KHz刻みに選局できなければ使い物にならない。
これは何か10KHzと9KHzの切り替え方法があるはず。
あわてず騒がず、ここは一旦、短波に切り替えてみる。
3.2MHzから4.1MHzの中を行ったり来たり。短波の受信範囲はたったこれだけか?
とにかくマニュアルがないし、メジャーな商品でもないので情報もない。
無い無い尽くしの中で自分で探っていくしかない。
独自の操作法の解読
一応キットの製作は成功した(つもりです)。
しかし、まともに使うには操作法の解読が必要となる。
とにかく触りまくる。ここを押して、あっちを押して、ダイヤル回してみたいに、、、。
そんな中で解決したのが中波での周波数ステップの切り替え方。
中波に切り替える時に押すバンド切り替えのMWスイッチを2回押すことで10KHz/9KHzの切り替えが出来ることが判明。
短波での受信範囲の切り替えもバンド切り替えのSWスイッチを押すたびに受信範囲は切り替わることが判明。
大まかな操作については一件落着である。
他にも日付や時刻の設定とかありますがそれらはパス。
ラジオが操作できれば後は必要はない。
中波受信時のポツポツ発振音のトラブル
操作の面では必要最小限の事は解決したのですが、ひとつ気になることがあります。
それは中波の受信時になり続ける「ポツ、ポツ、ポツ、、、、」と言う秒針が時を刻むような規則正しい発振音なのです。
電波が強力なローカル局であれば放送の音量に打ち消されてあまり気にならないのですが、少しでも電波が弱い局の受信になるとポツポツ音が際立ってしょうがない状況です。
どこかハンダ付けの不良の個所が影響しているのか?パーツの不良なのか?
一体何が原因で発振音がするのかよくわかりません。原因究明には素人には限界があります。
というかさっぱりお手上げ状態です。
ただ、中波受信時にだけに起きる現象で、FMや短波受信時にはありません。
目で見える範囲で中波に特化したパーツで分かるものはバーアンテナ。
ひょっとしてと思いバーアンテナを取り外してみたところ、ポツポツの発振音はなくなります。
どうもバーアンテナが放送局の電波以外に何か音(信号)を拾っているみたいです。
再びバーアンテナを本体に取り付けたのですが、所定の位置にセットせず、本体から距離を置けば発振音は消えます。
なんとなく原因が分かりました。専門的なことは分りませんが、バーアンテナの左下にあるDSPラジオモジュールから漏れる何かの信号を拾っているみたいです。
バーアンテナは基盤本体に固定したいところですが、正規の位置にはポツポツの発振音の影響で固定できそうにもありません。
別の場所と言ってもスペースはないしで、今は宙ぶらりんの状態になっています。
怪我の功名ではないですが、ポツポツの発振音の原因を探す際、ハンダ付けの不良個所を見ていく中で液晶表示板のハンダ付けの個所で一部ショートしている感じだったので、改めてハンダごてで熱を加え補修してみると、それまで表示されていなかった一部の文字が表示されるようになりました。
AMループアンテナとの組み合わせ
正月に作ったAMループアンテナを使えば市販のラジオと同様、遠方のラジオ局も受信しやすくなります。
外部スピーカーに適当なものがないので「プリングルス スピーカー」をつないでいます。
ただ、本体のボリュームで音量を最小に絞っても音が消えません。何故でしょうか?深刻なトラブルでもないので別に良いんですがね。
ふつうここまで完成させると、手頃なケースか何かに収めるんでしょうが、どうもそういうのが苦手でこのままになってしまいそうです。
宙ぶらりんのバーアンテナの事を考えるとケースに収めないまでも何か対策を施した方が良いのですが。
ラジオキットを作り終えて
上の二つのラジオを電波を受信するだけの機能で言うのなら、それほど性能の違いはないのかもしれません。
しかし、10キーやメモリ機能、目的周波数近くにある強い局の混信を避けたりノイズを緩和するフィルター的なものとか、市販のものにはかないませんね。
価格でみても市販品のコストパフォーマンスはかなりのものです。
とは言え、音出しに成功した手垢にまみれたキットのラジオには何とも言えない満足感があったりします。
聞くラジオと自分で作るラジオの違いを感じます。
コメント
私も当ラジオキットを製作しましたが、電源を入れてスイッチをONすると、スイッチの右側のLEDは点灯しますが、イヤホンからは何も聞こえません。マイコンチップの半田付けに悪戦苦闘しましたので、それが原因であるのか液晶画面にも何も表示されません。マイコンチップのどこかがショートしているとしても、何の表示がないのは何故でしょうか。USB+5V INや基盤右端の+3V GNDに電源を接続しても、ウンともスンとも言いません。
見事に受信に成功しておられる貴殿の何らかの助言を戴けれは幸いです。
電子工作について知識も経験も乏しく、的確な助言はできないのですが、、、。
私が北村さんと同じ状況であるなら、今一度、ゆっくりと、落ち着いて、ハンダ付けの不良個所はないか、所定の個所にそれぞれのパーツが間違いなく取り付けられているか、電解コンデンサ等の極性のあるものは、極性に間違えはないか、無駄に余ったパーツはないか等を何度も確認すると思います。
表面実装のマイコンチップのどこかにショートがあれば、それは致命的な欠陥ではないでしょうか。表示板に何の表示がなくても別に不思議ではないと思いますよ。
一般に動作不良の原因は主にハンダ付け不良が多いそうです。隣のパターンとの短絡、配線不良など原因は様々あると考えられます。
ショートが気になる所は、はんだ吸取り線等も利用しながらマイコンチップや表示器液晶のハンダ付け個所に不備がないよう仕上げてみては如何でしょうか。
aitendoのキットは詳細なマニュアルも何もなく、基板に印刷された部品配置図だけが頼りです。根気よく個々のパーツの配置、ハンダ付けを再度確認してみてください。
このキットは完成後に調整する部分はありませんので、上手くいかない原因は誤配線かハンダ付けの不良くらいしか考えられません。
些細なミスが原因であるかもしれませんよ。
成功をお祈りいたします! がんばって!