昨年、ゲルマニウムラジオや1石トランジスタラジオで遊んでいた頃、YouTubeで見つけたAMループアンテナの動画です。
これと同じようなアンテナを中学生の頃作ったことがあり、劇的な受信感度アップの威力に驚いた記憶があります。
今回、年末に必要となる材料を買い込んで正月休みに掛けて動画で紹介されているようなAMループアンテナを製作してみました。
ナゾのトライアングルアンテナ
本題に入る前に「ナゾのトライアングルアンテナ」について。
こちらのサイトに雑誌「ラジオの製作」に掲載された「特別企画 中波受信に新兵器登場! ナゾのトライアングル・アンテナのすべて」という記事の画像があります。
その昔(1977年か78年頃)、この記事を見ながら作ったのがこれ。
屋根裏でホコリまみれになっていたものを引っ張り出してみた。
まだまだ現役で使えます。動画で紹介されている様に微弱な電波を強力にパワーアップします。上の動画のアンテナと形が違うだけで原理は一緒。
製作記事では一辺が1mになっていますが、実際に作ったのは1/2サイズの一辺が50cmのもの。(おそらく1/2サイズでも作れることが記事に書かれてあったのだと思う。)
指向性のあるアンテナなので一辺が1mの三角形となると大きすぎて狭い部屋の中で、ましてや限られたスペースの机の上では取り回しが大変であることから、この1/2サイズに落ち着いたと思われます。
三角形の枠にはエナメル線が巻かれ、リード線を介してバリコンにつながっています。
アルミパネルの裏に三角形の頂点部分が収まるポケットがあり、使用時にはアンテナは本体から取り外して頂点を上に向けた座りの良い安定した体制でラジオに近づけて使っていました。
なぜSANSUI、安全第一のステッカーが貼られているのかはナゾのトライアングル・アンテナだけに自分でも謎です!
新AMループアンテナ 材料調達
巻きワクはダイソーのMDF材(300×400×6mm)。
ベニヤ板や無垢の板材とか何でもいいのですが、加工のしやすさと100円という価格が決め手になりました。
まずは二等分にノコギリでカット。それぞれに板厚の6mm幅の切れ込みを部材の中央に入れます。これを組み合わせれば巻きワクはほぼ完成。
上の動画のループアンテナより対角で10cmくらい大きくなりますが、性能に影響ないと思うのでこのままで作りました。
この時点ではアンテナ線の巻き数が定かでないので線を通す穴はまだ開けていません。
アンテナ線となるビニール線、リード線と呼ばれるようなものは広島市内のパーツ屋さんで、長さ10m(税抜350円)のものを3つ購入。
20mもあれば用は足りるかもしれませんが、不測の事態に備えて30m分用意しました。
私の住む広島市内で電子部品を取り扱うお店は松本無線くらいになってしまいました。
今回リード線を購入の際、メンバーズカードが発行されました。一応会員制だそうです。
バリコンは「ナゾのトライアングル・アンテナ」のエアバリコンを再利用することにしました。
アンテナ線の長さとバリコンの容量の関係は数式で求められるのでしょうが、その辺りはさっぱり分からないので無難に「ナゾのトライアングル・アンテナ」の仕様に倣ったものにします。
アルプス電気のエアバリコン。日本製だ。今となっては貴重品。
アンテナ線の巻き数、長さの調整
とりあえず用意したビニール線すべて(30m)をワクに巻いてバリコンに接続してみました。
流石に30mは長いようで、低い周波数ではバリコンのツマミを半分くらい回さないとその効果は表れてきません。
10mだと短すぎて低い周波数には対応出来ず、20mで「ナゾのトライアングル・アンテナ」と同じくらいのものになりました。
一辺が1mの「ナゾのトライアングル・アンテナ」では6回巻きの18mを線の長さとしていましたので、20m巻きで若干の巻き残し部分をカットすればほぼ同じ感じに仕上がるでしょう。
写真は20m程巻いた時のものです。巻き数は17回。見た目は結構雑な状態のループアンテナですが「Made in Indonesia」のSONYのCDラジカセでも威力を発揮します!
秘密兵器登場!アマゾン経由の香港直輸入の簡易テスターのようなものでインダクタンスなるものを計測してみました。
写真は「ナゾのトライアングル・アンテナ」の測定結果です。0.11mHと表示されています。
巻きワクをMDF材にした今回のアンテナでは、10mで0.05mH、20mで0.13mH、30mで0.31mHとなりました。
理屈や理論に裏付けされたものがないのでこの数字が何を表しているのかはわかりませんが、「ナゾのトライアングル・アンテナ」に最も近い値となったのは20mのアンテナ線となりました。
シビアな計測は無理かもしれませんが、素人のお遊びには十分に活用できるみたいです。
この商品はいくつものショップで取り扱われていて値段も様々ですが、購入時に一番安いところで買いました。正規品とそうじゃないものとかあるみたいですが、たぶん私が手に入れたものは正規品ではない感じ。
年末近くでクリスマスなどと時期が重なったためか、香港から届くまでに約2週間かかりました。
バリコンの容量も測れるみたいなのでポリバリコンで試してみると278pF。カタログ値では最大容量が266pF。
ちなみに、2連のエアバリコンを並列に繋いだ値は最小容量が34pF、最大容量が880pFでした。
AMループアンテナとは関係ないのですが、1石トランジスタラジオのキットに含まれていた330μHのリードインダクトを測ると0.32mH。
自作のスパイダーコイルでは0.50mH。リードインダクトの数値に近づけるには巻き数を減らせば良いのかもしれませんが、これでもゲルマラジオは聞くことは出来ました。
MDF材穴あけ
アンテナ線は20m分を巻くことにしたので、巻き数分のアンテナ線を通す穴を開ける。
仕舞い込んでいたインパクトドライバーを取り出してみたのですが、完全にバッテリーが放電してしまったみたいで充電を試みるも全く充電されない状態。
コード式の昔ながらの電気ドリルでも買おうかと思ったのですが、使用頻度を考えると割高なものになりそうだし、、、と思っていた矢先、年末の12月30日にアマゾンのタイムセールで、純正品ではないのですが互換性のある交換バッテリーが安価な価格で売り出されていたのを発見。30日に注文すれば元日に配送される。悩んでみたものの、結局買っちゃいました。
元日の朝、ヤマト運輸から無事に交換バッテリーが届きました。
アンテナ線の巻き数は17回。17個の穴をそれぞれの場所に等間隔で開ける。
穴さえ開けば後はアンテナ線であるリード線を順番に通していくだけ。これが案外簡単なようで面倒な作業でした。
バリコンを本体に取り付ければ完成なのですが、現在取り付け方法を考え中です。このままの状態でも使えるのでこのままの可能性もありますが。
時期にもよるのかもしれませんが、昼間の3時過ぎくらいから東京キー局の出力の大きい放送局の電波は広島でキャッチできます。
夜に比べるとまだまだ微弱な電波ですが、ループアンテナの力で確実に受信感度は上がります。
別に性能が悪い訳でもなく低価格で良いラジオなんですが、チューニングダイヤルが簡単にぽろぽろ外れてしまうのが、いかにも詰めの甘い中国製を感じさせる残念なラジオです。
AMループアンテナの市販品、キット
手間暇かけて自作するより、市販のループアンテナで低価格で良いものがあります。
全編英語で言葉は分りませんが、ラジオにアンテナを近づけたりツマミを回したりで受信感度の違いが分かる動画です。
キットでも興味深いアンテナがいくつか発売されています。
二つともTECSUNのAN-200より割高ですが、、、。
これはアメリカのサイトで、現在商品自体は売られてなくて解説書みたいなものがPDFとして販売されています。
AMループアンテナの製作を終えて
ラジコのネット配信で全国のラジオ局の放送はクリアな音声で楽しめる時代になりましたが、アナログチックに雑音や混信の中から電波を拾い出す作業は時代とは逆行しているかもしれません。しかし不思議なものでこれはこれで楽しいものです。
今回新しくループアンテナを作るのに国内外を問わずいろんなサイトを見て回りその中で学んだことは、アンテナ線の巻き数(長さ)とバリコンの容量に整合性を持たせば、アンテナの形は四角や三角や円とか渦巻とか関係ないということです。
それと根本的に重要な点は鉄筋コンクリートの建物には電波は入ってこないこと。
どんなに高価なラジオや高性能なループアンテナを組み合わせても鉄筋コンクリートの建物内ではその実力は発揮できないので注意が必要です!
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